CREATOR

FOCUS ON LOCALS

チーム ヤムヤムと十勝のつくり手たち

十勝・中札内村に暮らすチームヤムヤムが案内する
ローカルクリエイターの生活とその背景にあるストーリー。

チームヤムヤム

  • Location

    中札内村

  • Genre

    編集・デザイン

日々の風景を描く、十勝の「つくり手」として

旅の途中で訪れた、北海道・十勝。もう少しここで過ごしたいと、帰りの飛行機をキャンセルして、村にある空き家を借りた。冬を越し、夏を迎えて、また1年。いつのまにか8年が経った。広々とした平野、雪を冠した山々。透き通った湧き水に、畑の野菜、豊かな食。 これまで旅する中で求めていた風景が、ここにあった。私たち「チームヤムヤム」は、山本学と山本えり奈の夫婦2人による編集・デザインチーム。中札内村を拠点に、十勝の風景の中に身を置きながら、旅と暮らしの中で生まれる視点や発想を、文章やイラスト、デザインを通して表現している。

上・下/スケッチブックを持って、子どもたちとともに近くの森へ。創作は家族の暮らしの中にある。

「十勝の魅力を体験する、入り口をつくりたい」

この連載、『INTERVIEW FOCUS ON LOCALS』は、「チーム ヤムヤム」が取材・執筆を担当するインタビューシリーズ。北海道・十勝を中心に活動する「つくり手」を訪ね、彼らの仕事や生き方、その背景にある十勝の豊かな風景を紹介していく。登場するのは、アーティスト・デザイナー・木工・陶芸・音楽家など、さまざまなジャンルの「つくり手」たち。彼らに共通するのは、仕事も暮らしも、生きる上で「つくる」ということが、大きな軸になっていることだ。 十勝に暮らし、イラストデザインの仕事をする中で、私たち自身も「つくり手」として、つくるということに常に関心を持ち続けてきた。この連載を通して、彼らと向き合うことで、私たちの中に生まれる共感や気づき、その過程もシェアしていけたらと思う。果たして、彼らの生き方を通じて、どんな十勝の風景が描き出されるのか? この連載が、十勝の魅力を体験する入り口になってくれたらと願う。

「つくったものはやがて、
この土地の風景の一部となっていく」

連載一回目ということもあり、今回は僕らの自己紹介をさせてもらいたいと思う。「チーム ヤムヤム」の作品のベースとなっているのは、十勝での旅と暮らしの中で出会った風景。町のイラストマップやお店の看板、パンフレットに身近な風景を描くことで、デザインに落とし込むようにしている。何気ない日常も、思いがけない発見に満ちた旅の続き。買い物の行き帰りの道にも、畑にはトラクターが走り、ジャガイモの花が咲き、日高山脈に夕日が沈む。歩くたびに風景は移りゆき、日々の出会いに飽きることはない。一斉に咲く春の花々、緑の生茂る夏の畑、どこよりも早い秋の訪れ。そして、長い冬の静謐な時間。この土地ならではの豊かな風景が、私たちの創作活動に影響を与えている。

上/日付は初雪から雪解けまで、十勝の冬を楽しむためのカレンダー「十勝雪暦」。冬を楽しむアイテムを毎日1つずつイラストで描いている。下/「北海道版あいうえおつまみ表」は、北海道ならではの酒の肴を集めた五十音表。地元の人たちを中心にアンケートや聞き書きを行い、尋ね集めたおつまみをセレクトして製作。

上・中/絵を描くことも日常の暮らしの中にある。下/自分たちの作品としてつくるものも、受注でつくるものも、どちらも十勝の魅力を伝える表現のひとつ。

私たちの製作は、家族や身近な人たちに向けて「つくりたい」という着想から始まることが多い。 長女が小さい頃、文字を覚えるためにつくった「あいうえおつまみ表」。訪れる友人を案内するために、好きなお店や温泉、自転車で走りたい道などを描いたイラストマップなど。思い返せば、イラストを描くことも、個人的に記していた旅日記の延長だ。 DTPデザインを始めたのも、友人の写真を使ったポスターや、馴染みのラーメン屋さんのカレンダーをつくるのが、そのきっかけだった。 日々の生活の中で思い浮ぶ、誰かのために「つくりたい」もの。それをデザインという手法を使い形にしていく。 身近で親しみやすいと評されることも多い作品の背景には、いつも私たち自身の暮らしがある。

上/「あいうえおつまみ自由帳」は、いたずらで子どものランドセルに入れておくためにつくったのがはじまり。周囲からも欲しいという声があり増刷し、今では道の駅などでも販売。下/日高山脈をグラスにデザインした「ユキノアワビールグラス」。注いだ泡が雪山の稜線に重なる。

自主発行の「ヤムヤム旅新聞」は、旅や暮らしの中での小さな気づきや体験をシェアする、コミュニケーションツール。

「コミュニケーションが生まれ、
風景が生まれるためのツールとして」

壁に貼った「あいうえおつまみ表」を見ながら、「これは何だろう?」と、親子の会話が生まれたり、カレンダーを見ながら、「今日はこの日だね」と話が弾んだり。作品は、コミュニケーションのプラットフォームだ。私たち自身も、初対面の人には名刺代わりに、こうした作品を手渡しすることで、関心や作風を伝えるツールとして役立てるようにしている。作品を手に取った先に生まれる、さまざまな人とのコミュニケーション。何気ない会話は、積み重なって小さな場をつくり、やがて地域の風景のひとつとなっていく。

主催するイベント「夏至のピクニックパーティ -育つ庭-」のスケッチ。描きたい風景をつくり、未来につなげていく。

昨年は、自ら企画・主催するイベント「夏至のピクニックパーティ -育つ庭-」を初開催した。音楽、ワークショップ、飲食など、十勝で活躍するさまざまな分野のつくり手たちの協力を得て、一日限りの風景をみんなでつくりあげた。 楽しい音楽が流れ、さまざまな人が笑顔で集まる広場。大人は思い思いにくつろぎ、子どもたちは裸足で走りまわる。そんな旅や暮らしの中で思い描いてきた風景を、これからも十勝のつくり手たちと一緒につくっていけたらと思っている。そしていつか、地元の子どもたちに「こんな風景があったなぁ」と思い出してもらえたら。それは、やがて未来の十勝の風景へと受け継がれていくのではないだろうか。

Profile

チーム ヤムヤム

Team YumYum

山本 学 ・ 山本えり奈

旅をしながら十勝に暮らす、編集・デザインチーム。あいうえお表やカレンダー、イラストマップやパッケージラベルなど、日々の楽しさをデザインする作品を手掛けている。北海道新聞にイラストエッセイ「ヤムヤム移住ごよみ」を連載。十勝毎日新聞社カレンダー「とかちごよみ」製作。Hotel Nupka「旅のはじまりのビール」ネーミング&デザイン。NHK連続テレビ小説「なつぞら」公式コラム執筆など。2019年6月には、2年目の「夏至のピクニックパーティ-育つ庭-」を主催。

 

www.tyy.co.jp

INTERVIEW & TEXT : TEAM YUM YUM
PHOTO: NAOKI WAGATSUMA

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